百年日記帖

ukiyo girlというバンドの人の非商業的な日々 目指せ百年

She calls me 'Girlie'

 海外の映画やドラマ、アニメなどを見ていると、その異文化というか生活のディテールにあこがれることがある。例えば、映画の登場人物が、よく深夜に家に帰ってご飯を食べるときに持ち帰る、チャイニーズ・テイクアウトボックス(縦長で上のフタが四方に開く中華料理のテイクアウト用の入れ物)や、アメリカではおなじみの赤いプラスチック・コップ、あとはブラックベリーの携帯端末だったり、スライスピザなど。僕は物語の本筋とはあまり関係のない、そういうところに目が行きすぎて、映画を見終わったあとにそういう些細な部分だけ頭に残っていることが多々ある。ソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」がまさにそうで、見終わったあとに一番印象的だったのは、女の子たちが男の子を家に招いて、ホームパーティーをしたときに配っていた”赤いジュース”だった。

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 ホームパーティーという日本には馴染みのない文化と、少年少女たちの70年代っぽい洒落た服装、雰囲気とともに、あの変な赤いジュースがやたらおいしそうに映っている。ホームパーティーどころかパーティーに参加したこともなければ、ジュースはペットボトルで注ぐのが当たり前だった僕からすれば、不思議な色をしたジュースを大きなガラスボウルからお玉のようなもので救い、一人一人のグラスに注いでいくというあの動作の一つ一つが衝撃的だった。

 そして、あどけなさの残る男の子たちが着慣れないスーツを着て、女の子たちにドキドキしながらあの赤いジュースの入ったグラスを口に運ぶシーンには、なんともいえない良さがある。あのうまく会話できない間を埋めるために口にする”赤いジュース”が、女の子の家のホームパーティーに来た男の子たちの、ドキドキとした雰囲気を描くのに、うまく作用しているのだ。

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 初めて見たとき、その”赤いジュース”だけが印象的で、「あの赤いジュースはなんだろう」とずっと思っていた。たまに、海外の映画、特に青春もの、学園ものの映画で、ヴァージン・スーサイズと同じようにホームパーティーや、プロムパーティーなんかで、あの大きなボウルに入った”赤いジュース”が登場することがある。お玉やボウルの形が違うくらいで、大体の場合”赤い”色をしたジュースで、同じように一人一人のグラスに注がれている。

 あのジュースの正体が知りたいがために、もう一度借りて見直してみると、パーティーの途中、一人の男の子がリスボン夫人に「This punch is fantastic」と話しかけている。その後、「What's in it?」「Juices.Some cherry, pineapple」「You know, I Uh...I love pineapple」というやり取りがある。どうやらあれはパンチという飲みもので、サクランボとパイナップルが入っているらしい。

 フルーツ・パンチ、と呼ばれるその飲みものは、アメリカではパーティードリンクとして有名だそうだ。事実を知るまで、「サングリアなのかな?」と思っていたが、似たようなもので、映画で見たあのタイプは「パンチボウル」というらしい。あの綺麗なガラスのボウルに、鮮やかな色のジュースが入っている様は、やはりどこか惹かれるものがある。そして、果てしなくガーリーである。

 やはり僕は、ガーリーなものに憧れる。パステルカラーのドレスに身を包んだ女の子たちの家に誘われて、ドキドキしながらパンチ・ジュースをぐいっとあおる男の子になりたかった。いや、どちらかというとパステルカラーのドレスに身を包んだ女の子のほうになりたかったかもしれない。でも、日本の夏にガラスのピッチャーから注いで飲む麦茶も悪いもんじゃないよね、と思いながら、僕は鶴瓶の顔がデザインされた「健康ミネラル麦茶」をあおるのであった。

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