百年日記帖

ukiyo girlというバンドの人の非商業的な日々 目指せ百年

カニとパイナップル

ある人はニューバランスの靴を履いて、全速力で駆け出し、ある人は自転車を一生懸命漕いでいくなか、どうせニューバランスとか似合わないし、自転車も乗れないし、と諦めにも似た思いを抱え、たまたま残されていた、空き缶に紐を通しただけの簡易的な竹馬「…

夏の夜

大切な人からもらったニューバランスを、もったいなくて履けずに、本棚にずっと飾っていたのだけど、なんとなく気まぐれを起こして、外に出して、履いて出かけた。もらってから、だいぶ日が経っていたので、足を入れると少しきつかった。その頃とは十キロ近…

まともがわからない

7月10日 魔 電車のなかでOL二人組の会話が耳に入る。 「魔ってさすよね~」 「あー、さすさす」 7月13日 ガリガリくん ガリガリくんを口にふくんだまま、仰向けになり、手を使わずに何分で食べられるか挑戦してみる。 結果、1時間27分33秒で食べ切る。 7月16…

菊池亜希子的な、なにか

こないだ出た、菊池亜希子の「好きよ、喫茶店」をぺらぺらめくっているうちに、ある人のことを思い出した。その人は、僕の三つ上で、大学を出た後に別の学校へ入って勉強をしている、小柄でショートカットの似合う女性だった。僕の働いていたドーナツ屋さん…

ピーマンの肉詰め

「ピーマンの肉詰め」が嫌いである。ピーマンの肉詰めとは、その名の通り、半分に切ったピーマンにひき肉を詰めて焼いたアレである。誰もが一度は口にしたことがあるだろう。うちの家庭では、このピーマンの肉詰めが食卓に上ることが稀にあるのだが、食卓に…

アイスキャンデーの夏

「夏だし、なんかそれっぽいことでもするか」と思って、コンビニでガリガリくんを買って食べた。日差しが強く、とても蒸している日だった。ユニクロの松本大洋シャツと短パンに身を包み、買ったばかりのハンドスピナー(300円)を回しながら、コンビニまで駆…

次やったら殴る

こないだ、家の前にある長い直線の道を車で走っていたら、急に大きな破裂音が鳴り響き、目の前が大きな火花と煙に包まれた。自分でも何が起きたのかまったくわからなかったし、車が爆発したのかと思った。すぐに脇の道に逸れて車を停めた。その破裂音が鳴っ…

ぼくのステディ

恋人のことをステディと呼ぶアレ、どこかまぬけというか気が抜けているような気がして、いいなと思う。彼女とか、恋人とかよりも、ステディは日本人的な感覚として、敷居が低いような気がする。なぜなら、僕のような人間は、彼女のことを彼女と呼ぶことがで…

変なおっさん

二十二歳にもなると、近所の公園で遊ぶとか、外で元気にはしゃぐ、みたいなことが無くなってしまった。今でこそ、なるべく直射日光と人の目を避け、ハイパーインドア人間として生活している僕だが、幼い頃は毎日のように、外を元気に駆け回っていた。僕の通…

She calls me 'Girlie'

海外の映画やドラマ、アニメなどを見ていると、その異文化というか生活のディテールにあこがれることがある。例えば、映画の登場人物が、よく深夜に家に帰ってご飯を食べるときに持ち帰る、チャイニーズ・テイクアウトボックス(縦長で上のフタが四方に開く…

メロウイエロウ

深川麻衣さんも、橋本奈々未さんもいた頃の「乃木坂ってどこ?」を見返しながら「ヘ、エヘ......エヘへ......」とニヤついていたら、夏が来た。馬鹿だから季節のはじまりと終わりに気づく事ができないので、おじさんがキワめの短パンを履いているのを見かけ…

改札と白線

銀座で働いてます、みたいな女性が駅の改札を通るときに、パスケースをバンッ!って叩きつけている姿を見ると、どきっとする。いや、丸の内で働いていようが、八王子で働いていようが、そもそもOLじゃなくてもどきっとするのだが、人がパスケースを叩きつけ…

fly me to the mars

初めて行く街へ訪れた帰り、乗ったことのない電車に乗って地元まで帰った。休日の夜の電車は、平日とは違ってどこか活気と酒気に満ちていた。席がすべて埋まるくらい混んでいたが、平日ほどの息苦しさはなかった。僕は空いていた席に座り、ぼーっと本を読ん…

追憶のクリスティーナ・リッチ

人生で初めて女の子の部屋に入ったとき、本棚には村上春樹の『海辺のカフカ』やオーケンの小説が並べられてて、その隣には魚喃キリコと浅野いにおの漫画が全部あった。そばに立てかけられた、黒い安物のストラトキャスターにはアートスクールのステッカーが…

クリーム・ソーダ

「クリームソーダって、氷とアイスの間についてるシャリシャリが一番おいしいね」 「わかる、あれだけ食べられたらいいのにね」 「ソフトクリームじゃなくて、丸くてかたいアイスじゃないとできないんだよね」 「でも、コメダ珈琲のソフトクリームがのったク…

スパゲッティ・ストーリー

幼い頃から、余計なことばかり考えている。前にも書いたが、クリスマスにプレゼントをもらったときに、サンタクロースを信じ切っていた僕は、フィンランドという遠い異国の地から、どういった行程をもって「ポケットモンスター」のソフトが運ばれてきたのか…

麦茶フラペチーノ

自分で自分というものを規定しすぎて、それに苦しめられることがよくある。 例えば、昨日の夜、僕はクラッカーにクリームチーズをのせて食べていた。クラッカーのサクサクとした食感と、程よい塩味、そしてクリームチーズの豊かな酸味との調和を、僕は楽しん…

エピソード

自分とは違う価値観、文化、生活の中にいるような人たちと話すと、その”違い”に驚かされることが多々ある。特に、僕のような狭い価値観、世界で生きているような人間からすると、その驚きはより強い。 大学生の時、とある飲み会で、まともに話したことのなか…

生活のゆくえ

「アイドルの”生活”のこと、思いますよね」 僕らの眼前に、ある種の非現実的な輝きをもって現れた、オレンジ色の東京タワーをにらみながら、彼は言った。 「うーん、思うよね、それは」 僕は言った。僕たちは夜の六本木を歩いていた。「夜の六本木を歩いてい…

ペパロニ・ピザ

月に一度くらいの頻度で、コストコというスーパーに行く。コストコというのは、アメリカ生まれの大型スーパーのことで、売られているものも、店内の雰囲気も、そのままアメリカにいるかのような、特徴的なお店だ。うちの家庭、特に僕と妹はアメリカに対する…

カート・コバーンのポスター

壁に貼られた、カート・コバーンのポスターが剥がれかけている。窓から吹き抜ける風に煽られ、隅に刺していた針が落ちたのだ。「あー、直さなきゃ」と思いながら、すでに数ヶ月が経った。直すのが面倒だったわけではない。毎日、毎日「あー、直さなきゃ」と…

マイク・チェック

二、三ヶ月に一度くらいのペースで、ライブなるものを行っている。ライブっていうのは、つまり人間が楽器を持ち寄って、一斉に鳴らしたりなどする、アレである。このライブというものを行うために、大人四人で集まって一緒にお稽古をしたり、家でぽろんとギ…

ダンスフロアにギャルが舞う夜

昨日、帰り道にふと「ハヤシの顔でも拝んだろかいな(ハヤシというのは以前、ブログにも書いた僕の好きなセブンの店員)」と思いつき、足取り軽く、ステップを踏みながらセブンイレブンへ入店すると、それまで一度も見かけたことのなかった、金髪のギャル店…

赤いランプの下で

毎日、コーヒーを飲んでいる。夏はアイスコーヒー、冬はカフェオレボウルに、砂糖をたっぷり入れたカフェオレを作って飲む。家で飲むこともあれば、外で買って飲むこともある。高校三年生くらいのときから、毎日一杯は必ず飲んでいる。僕は昔から胃腸が弱く…

昔日の風景

本が好きだ。人前で”本好き”を自称するのは、なかなかに勇気のいることだが、大学も日本文学専攻だったし、ちゃんと読めているのかは置いといて、曲がりなりにも読み続けてはいる。本を読むようになったのは、小学生の頃からだ。ある日、母親が「一日中読ん…

『雪沼とその周辺』について

以前、ブログで江國香織の『とるにたらないものもの』というエッセイ集のことを書いた。 adballoon.hatenablog.com このエッセイ集では「緑いろの信号」「フレンチトースト」「輪ゴム」「干しブドウの味」のような様々な、とるにたらないけど、欠かせないも…

夜とドーナツ

大学時代、ずっとドーナツ・ショップで働いていた。「ドーナツ・ショップ」って表記すれば村上春樹的な、あるいはアメリカの青春映画に出てきそうな、冴えないけどクールな主人公みたいなイメージがつくかなと思ってそうしてみたが、ただの”日本で一番有名な…

ナンバーガールとぼく

昨日ブログで書いた、高校時代に作ったデモCDで使った写真が出てきた。 改めて見返してみると、埼玉のあの土地のさびしい感じがとても集約されているように思う。果てしなく広がっている茶畑と、絵に描いたようなくっきりとした鉄塔、それに右側に申し訳程度…

エキゾチズムと『入曽』

僕が通っていた高校は、西東京に近い埼玉の田舎にあって、静かな住宅街と、果てしなく広い茶畑に囲まれた、とても小さな学校だった。僕はそこまで、最寄り駅から電車で三十分、そこからスクールバスに乗って二十分、ドアツードアで毎日一時間以上かけて通っ…

乙女にあこがれて

乙女にずっとあこがれを抱いてきた。いつからそうなったのかはわからないが、年を重ねるごとにその想いは強くなる一方だ。乙女とはなにか、それは映画で言えばソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』や、『マリーアントワネット』、それから『ヘイ…

自由律俳句集 1

もはやこんな味だったっけなって言いたくて飲んでる この会はタレ派がマジョリティだった 気づいてはいるがレンズの方を見ない 遅刻して入ってきたやつを見るな 最初からつゆにつけて食べたい ちびっ子も並んでいるのを見て少し安心する 電車の揺れに合わせ…

FMヨコハマとせきしろ

「いや、FM横浜か!」 この間、バンドメンバーと共に渋谷を歩いていたら、突然こんな言葉が耳に飛び込んできた。路上で、男女数人のグループとすれ違ったときに、それは聞こえてきて、男性が誰かの発言に対して、突っ込むように上の言葉を投げかけていた。普…

かなしみのレシート

レシートというものに、必要性を感じたことが、一度もない。例えば、経費の関係で領収書を切ったり、品物とお釣りなどのミスがないように、その証明書として発行されているのはわかるが、仮に十円、百円くらいのお釣りの貰い忘れがあっても、性格上、店員に…

樋口一葉『たけくらべ』について

電車に乗っているサラリーマンの顔を見て、ふと、その人の子供時代の顔つきを想像することがよくある。今の顔つきから連想するのではなく、「小さい頃は、こんな感じだったんだろうな」という映像がぱっと浮かんでは消える。子供の頃の面影のようなものが残…

江國香織と『薄荷糖の降るところ』

幼い頃、がらくたを集めるのが好きだった。がらくたというのは、”生きていく上で必要のないもの”だ。それはいったいどういったものかというと、例えば宝石の原石であったり、動植物の化石、遠い異国の砂漠の砂、ラムネの中に入っていたビー玉、小さな隕石の…

トーチソングと『日々のゆくえ』

自分の好きなものが、どうして好きなのか、考えることがある。しかし、それらを言葉で説明しようとすると、往往にして、うまく説明できないことが多い。好きであればあるほどだ。例えば、コード進行が巧みであるとか、情景描写がうまい、とか、技術であった…

『世界音痴』な僕ら

”自然”な人間に憧れる。”自然”というのは、そこに”馴染んでいる”ということだ。二十二年間、様々なことと格闘したり、しなかったりしてきたが、この”自然”さというものがどうしても身に付かない。 例えば、イヤホンで音楽を聴きながら、電車の座席に座ってい…

『お別れの音』とハヤシくん

よく通っているコンビニエンスストアに、ハヤシくんという店員がいる。僕の家からは、歩いていける距離に二つ、コンビニがあって、右と左にそれぞれ一つずつ、セブンイレブンがある。右側にあるセブンは、少し小さめの、家族で経営しているような、アットホ…

『サブマリン』について

自分の理想を具現化したかのような、完璧な作品に出会うことが、たまにある。音楽や小説、映画といったようなものは、たくさんの作品に触れていくうちに、個人の好みというものが段々と固まっていくが、僕はその好みの幅というものが、他の人に比べて狭い。…

Andy ShaufとSくんと僕

小学生の時に仲の良かった、Sくんという友達がいた。僕が小学生の時は、ちょうどデスノートという漫画が流行っていて、みんな夢中になって読んでいた。Sくんは、そのデスノートに登場する「L」という登場人物が好きすぎて、毎日学校に、長袖の白シャツとジー…

『春と盆暗』について

(ネタバレあり) 今年の初めくらいに読んだ、『春と盆暗』という漫画がとても良かった。たまたま近所の本屋さんで面出しされていて、月面で、女の子が道路標識を持ちながら立っている、という不思議な装丁に一目惚れして、内容を調べずに、すぐレジへ持ってい…

Committed To The Cause

自分の好きなもの、惹かれるものは、ほとんど、寒い場所で生まれている。例えば、シガーロスやビョーク、パスカルピノンを生んだのは、アイスランドのレイキャヴィクという街だ。ビクトル・エリセの『エル・スール』は、情熱的なイメージのあるスペインの中…

トーチソング

高校生の時、休み時間になるとよく美術室へ通っていた。教室にあまり居場所がなかったのと、美術の先生のことがとても好きだったからだ。その先生は、優しくて、親しみやすく、どこか遠い北欧の国から来たような、不思議な雰囲気と空気感をもった人だった。…

サンタクロースのゆくえ

気づけば、サンタクロースの存在を信じなくなっていた。齢二十二にもなるんだから、当たり前のことなのかもしれない。いつ頃から信じなくなったのか、どうして信じなくなったのかは覚えていない。だけど、僕は幼いころ、サンタクロースの存在を本気で信じて…

アイドルとジョーク

最近、ふざけたい、という欲求が強くなった。なぜなら、ふざけてこなかったからだ。高校時代、唯一仲良かった友達が、数秒に一回のペースで雑なボケをかましてくるやつだったので、僕はボケに回ることができず、下手なツッコミをしながら、二人でゲラゲラ笑…

i'm lovin' it

マクドナルドが好きだ。マクドナルドとは、あのマクドナルドである。僕は今でも月に十回は食べるし、僕の学生生活は、マクドナルドに支えられていたと言っても過言ではない。 大学に入学したばかりの頃、元来の人見知りから、友達が一人もできず、昼食の時間…

Swing at somewhere

「不良にも優等生にもなれない僕たち」というのは、誰もが耳にしたことがある、一つの文化的、社会的なイメージ像であると思う。特に、サブカルチャーやポップカルチャーの中で、それらは育まれてきたが、僕はどうしてもそのイメージをうまく享受することが…

西多摩の川谷絵音

少し前に髪を切りに行ったとき、美容師のお兄さんが僕の持っていたミツメのトートバッグを見て、物珍しそうな顔で話しかけてきた。 「バンドか何かのやつですか?」 「そうです、ミツメっていうバンドで」 「どんなバンドですか?」 「うーん......スピッツ…